作者の名前がややこしいよね



ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)



ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)


石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組換動物を使役させエネルギーを取り出す口上を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、倶楽部で踊る少女型アンドロイドのエミコと出会う。彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。主要SF賞を総なめにした鮮烈作



というわけでパオロ・バチガルピ「ねじまき少女」読了しました。「ヒューゴー賞」「ネビュラ賞」「ローカス賞」「ジョン・W・キャンベル記念賞」など有名なSFの賞を総なめした本書。そりゃ読む前のハードルも高くなるっつー訳ですよ。そして読了して思ったのは、それほどSF度は高くない気がするぜ、という印象です。えええええ。ビジュアル的にもアジア圏の人間なら苦も無くイメージできると思うしね。ワシの貧困な想像力を超えるよーなものはそう無かったので、割とすんなり世界に馴染めるはず。


というか本書、SF的なネタを繰り出してそこを広げるっつーわけでもなく、設定が単に「近未来バンコク」ってだけで味わい的にはミステリ・・・スリラー的な味が強い気がしました。そう、SFミステリ。これですよ。というか多人数の視点で章が構成され、それが猥雑に絡みあうストーリーはSFとか関係なくめっちゃ面白いのですよ。後半に至っては序盤からはまったくもって想像できぬ予想外の方向に話が暴走し、読んでるワシはとてもいい笑いを浮かべまくってましたよ。ぐいぐいページを捲らされる。ノンストップ暴走劇場。ラストシーンの情景はとてもいい。


イーガンみたいなハード系統なSFではなく、さらっと楽しめるライトな作品だと思いますゆえ、ミステリ舎にも安心して楽しめる作品ではないかと思います。これは楽しかったぜ