フェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」



犯罪

犯罪


一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。ドイツでの発行部数四十五万部、世界三十二か国で翻訳、クライスト賞はじめ、数々の文学賞を受賞した圧巻の傑作。



弁護士さンが実際の事件をモチーフに書いた短篇集・・・だそうです。まさに事実は小説よりも何とやら。常人と狂人の境目は何処にある。「犯罪」を行う/行ってしまった登場キャラがどいつもこいつも素晴らしいまでの狂人っぷりでこれはもうワシに向けて書かれた本としか思えンぜ。描写が淡々としているのもまた大層効果的だよなぁ。味わい的にはミステリっつーよりは異色短編風味なので、ヘンテコな話が好きな方は是非読むべき。ワシ的には「タナタ氏の茶盌」とか「棘」あたりに痺れてノックダウンされました。いやほンと、「棘」はマジに凄いぜ。真の狂人とはこういうものかという見本みたいは話。


というわけでオススメです。今年のベスト候補と言えましょう