流用は恐れないッ(キリッ



山口雅也「奇偶」についてザ・インタビューズで結構気合入れて回答したのでこっちでも紹介するよ。

よろしい、全力で回答しましょう。


「奇偶」は2003年度版「このミス」で3位にランクインしている傑作なのですが、同時にその年の「バカミスの世界」でもまた高評価・・・グランプリ金賞をゲットしています。


そう、本書「奇偶」はいわゆる「バカミス」なのです。


バカミス」の定義が何かについて語り始めると大変長くなりますし、また個々人で価値観も違いますのでここでは長々と語りますまい。しかしワシ的にこれだけは言わせてもらいたい。バカミスには二種類あるということを。「狙って作られたもの」「天然の産物」があるということを。どっちが優れているかという話ではありませぬ。そりゃバカミスがまだ世に浸透していなかった頃は前者には駄作が数多く見られましたが、人工バカミスが高度に発達した今となっては前者も後者もクオリティー的に甲乙つけにくい。(特に前者は倉阪鬼一郎氏がすげぇ頑張ってるし)


ただワシの好み的には前者よりも後者です。何故なら養殖よりも天然だから・・・うなぎだって養殖よりも天然だから・・・。つーかワシの経験則からして、後者の方が圧倒的にツボに入ったときの破壊力が半端ないンですよね。技巧の限りを尽くして創り上げられた砂上の楼閣よりも、天然の力で創り上げられた砂上の楼閣の方がきっと派手に崩壊しやすい。今何の話しているのかよくわからなくなってきましたよ。何だ天然の砂上の楼閣って。


閑話休題


さて本書。テーマは「偶然」であり、これが延々と語られ続けます。これが本書のメインであり、総ページ数の8割程度を費やす力の入れ具合。その間事件らしい事件は何も発生しませン。狂気。この辺は読ンでて狂気を感じますよ。一体作者は何をやろうとしているのかと。つーか狂気は良きバカミスの第一条件にして、全てのバカミスの根源と断言致します。作者の狂気が感じられぬバカミスなどそれはバカミスではありませン。そのようなものを読む時間があるのならとっと家に帰って今週のチャンピオンでも読ンでればいいのです。


また話がずれた。


まぁ常人の感性と読む能力からすれば、このあまりの長さに音を上げても仕方ないところ。一応「偶然」という名の神についてひたすら思索が続く哲学的ミステリとして楽しめる・・・のは恐らく訓練された一部のマゾい読者だけか。ワシは結構「一体何を仕込ンでいるンだ?」とそれなりのテンションが持続していたからワシもM気質なのかもしれンね。というか読書のS気質って何だ。


また話がずれた。


まぁこの内容に恐れをなして逃亡するくらいなら最初から読まぬが華です。とっとと家に帰って今週のチャンピオンでも読むが良(略


そして遂に発生する不可能状況での密室殺人事件。


延々と「偶然」について語られ続けたのはこのためだったのか!と読み手が皆目からウロコがボロボロ落ちてウロコの海で溺死するくらいの凄まじいオチ。というかこれは許すとか許せるとか許せないとか、もはやそーゆーレベルで語っていい話ではありませン。もはや我々ボンクラ読者はこの圧倒的破壊力という神の怒りに等しいパワーに頭を垂れて伏せるしかないのです。つーかこれで怒りを感じるよーな不遜な輩はとっとと家に帰って今週のチャンピオ(略


でこれで終わりにならないのが「奇偶」の恐ろしいところ。その後も読ンでる人が( ゚д゚)ポカーンと口を開けて戸惑うだけの簡単なお仕事をするだけになるよーな展開があるのですが・・・まぁこの辺は読ンでからのお楽しみってことで。


さ ぁ 、 よ う こ そ 「 奇 偶 」 の 世 界 へ



質問は随時受付中。回答できる範囲で回答するよ。


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