夢枕獏「天海の秘宝」(上下)



天海の秘宝(上)

天海の秘宝(上)


時は宝暦年間、江戸の街に「不知火」を名乗る凶盗一味が跋扈し、“宮本武蔵”と名乗る辻斬りも出没していた。本所深川に住む堀河吉右衛門は、奇妙なからくりを作り、子供たちに法螺右衛門と呼ばれて慕われていた。そんなある日、法螺右衛門は天才剣士・病葉十三から人の言葉をしゃべる奇妙な黒い犬が、武士を噛み殺したという話を聞かされる…。



天海の秘宝(下)

天海の秘宝(下)


謎の辻斬り、人を襲う不死身の犬、さらに残虐さを増す凶盗一味。不穏な状況の中、異能のからくり師法螺右衛門と天才剣士・病葉十三の探索は続く。やがて二人は江戸を守護した伝説の怪僧・天海の遺した”秘法”とかかわりがあることにたどり着く。だが”秘法”の正体と在り処は、依然として分からない…。



ワシは大好きですヨ。


上巻はいいンですよ。まっとうな伝奇もの感溢れる話だし。問題は下巻。下巻やばい。上巻で抑えていた変なパトスが溢れまくっておる。具体的には法螺右衛門の「からくり」のボンクラっぷり。これやばい。変な笑いが止まらない。「おいおい」って突っ込みで済ませられるレベルじゃない。あと天海の秘宝の正体やばすぎ。笑うとか笑えないとかもうその辺の次元を超越している。獏ェ・・・!


でもまぁ獏だしな。全て許す。つーか伝奇小説はこのくらいはっちゃけている方が楽しいよ。でもまぁ、正直熱心な獏ファン以外にはオススメできない。