ジェデダイア・ベリー「探偵術マニュアル」



探偵術マニュアル (創元推理文庫)

探偵術マニュアル (創元推理文庫)


名前もない都市の<探偵社>には、探偵だけでなく、事件の記録をまとめる記録員が存在する。ある日、都市髄一の名探偵シヴァートの専属記録員アンウィンは、突然探偵への昇進を言い渡された。何かの間違いだろうと監視員レイメックのオフィスを訪れるが、部屋のあるじは死体となっていた。続いてシヴァート疾走の報が舞い込む。探偵になどなりたくないアンウィンは、事件解決のためなんとかシヴァートを見つけようとするが、頼れるのは眠り病の助手と『探偵術マニュアル』のみ。行く手に現れる奇々怪々な犯罪者に振りまわされつつも、真実を求めアンウィンは奮闘するが───。ハメット賞、クロフォード賞に輝く幻想探偵譚。



素晴らしい。


つーか本の帯が微妙に作品の方向性についてのネタバレをしている気がする。でもまぁ中盤で明かされるネタであるし、帯の文句見て「どういうこと?面白そう!」と思う人もいるかもしれないからそこまで気にすることはないかな。


というわけで本書「探偵術マニュアル」ですが、ミステリ+幻想小説(つーかSF)の合わせ技な作品となっております。ミステリの皮をかぶったSFであり、SFで味付けしたミステリである本書。劇中で発生している事件にはきっちり説明が付けられるのですが、それがSF的なガジェットを全面的に押し出したものを前提とした解決であるため、そこで「もにょっとする」か「ほほう」と思うかで評価が分かれそうな感じが致します。つーか幻想的な要素が絶妙なスパイスで配合されておるためこれを嫌いになる人はあまりいないのではなかろうか。劇中で紹介される事件もすげぇ魅惑的だし、とにかく読ンでて幸せになれる作品。いつか再読したいなぁ。