荒山徹「魔岩伝説」
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 文庫
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若き遠山景元VS剣客・柳生卍兵衛
家康が朝鮮と結んだ恐るべき密約とは!?
折しも朝鮮通信史が五十年ぶりに来日する直前、対馬藩の江戸屋敷に曲者が侵入した。幕閣が放つ剣客柳生卍兵衛の魔手から若き遠山景元が救ったのは、なんと朝鮮の女忍者だった。彼女が仄めかす徳川幕府二百年の泰平を震撼させる、李氏朝鮮と家康の密約とは?国禁を犯し、朝鮮に渡る景元とその追っ手たち!史実の裏で繰り広げられる壮大無比な傑作時代伝奇!
面白すぎる。変なクセもないので荒山せンせの入門としては最適かもしれない。
とりあえず適切な柳生がいなければ作っちゃえばいいじゃない、という荒山せンせの恐れを知らぬフロンティアスピリッツ溢れるその創作姿勢により本作では柳生卍兵衛(やぎゅうばンべえ)という柳生キャラが登場しております。名前からして明らかですがまンま十兵衛のコンパチ。こいつがまた中々の好漢であるところが素敵です。遠山景元追っかけてはるばる朝鮮へ向かうストーカー気質でもあるがな!
というか主役は遠山景元、若き日の遠山の金さンですよ。遠山の金さンと言えば桜吹雪の刺青ですが、本作を読むとニヤリとしてしまう仕様になっておりひょっとしてこれをやりたかったから金さンを主役にしたのかと思うのですが、その辺のネタに引っ掛けたストーリー展開が絶妙すぎて荒山せンせが単なるネタだけの作家ではないことを改めて思い知らされました。つーか強引ながらも納得してしまうこの展開はすげぇよなやっぱ。ストーリーの大筋だけでは「お前は何を言っているンだ」と絶対思っちゃうけど、読ンでるとまったく疑問に思わぬこの勢いは凄い。
ラストもすげぇグッとくる、何か「悪いものでも食べたのか荒山せンせ・・・!」と思っちゃうほどの真っ当(?)な高クオリティ伝記時代小説。こいつぁオススメですぜ。