夢枕獏「闇狩り師 黄石公の犬」



闇狩り師 黄石公の犬 (トクマ・ノベルズ)

闇狩り師 黄石公の犬 (トクマ・ノベルズ)


一家の長、坂田順一郎が不慮の死を遂げた。順一郎は地元漁協の組合長としてダム建設に反対していたため、その利権に群がる暴力団岸又組の手によって殺されたのだ───。そう確信した妻・美沙子は、占いがよくあたると評判の“犬を連れた老人”に、関係者の呪殺を依頼した。その日を境に、周囲に“二本脚で歩く犬”が出没。ダム推進派の議員や建設会社社長が相次いで犬に襲われ、命を落としていった。そして、美沙子も正気を失った状態に陥っている。順一郎の息子・広一は、事態の打開を、九十九乱蔵に託す。身長二メートル、体重一四五キロ。猫又シャモンをひきつれて妖物封じを稼業とする好漢・九十九乱蔵、今回は、山揮と呼ばれる魔物と対決することになった…!!「黄石公の犬」と、旧ノベルズ版未収録の中篇「媼」を掲載。



表題作「黄石公の犬」のオチがあまりにも酷すぎていい笑いしか出ねぇ。(注:褒めてます)


つーか連載期間が2000年から2008年とか気の長い話だよなぁ。媒体が季刊誌だったってーこともあるけど、それにしても長すぎる。もうちょっと連載のページ数割いてもよかったンじゃねーの?つーかよくそれでリアルタイムで読者がついてこれたな。まったく、獏ファンはたまらぬ猛者ぞろいだぜ・・・。闇狩り師としては21年ぶりの新刊ってことらしいけど、いやはやまったく、ほンとうに気の長い話だぜ。


しかし話としてはもう「闇狩り師」ど真ン中といった感じで、「これこれこーゆーのが読みたかったンだよ」的話で大変満足です。やっぱ短編の方が闇狩り師は面白いよなぁ。長編よか薄い&密度ないってのも分かるけど、ワシは闇狩り師は短編の方が好きなのでこの路線を大いに歓迎したいところ。やっぱ乱蔵さンが妖怪的な何かと戦ってこその闇狩り師でしょ。