詠坂雄二「インサート・コイン(ズ)」



インサート・コイン(ズ)

インサート・コイン(ズ)


フリーライターの柵馬は、サブカル要素の強いゲーム雑誌「プレススタート」の企画で、日本のビデオゲーム史に残る巨大タイトルを、絡め手から扱う記事を書くことになる。マリオが追っかけたキノコのように、動くキノコはあるのか。ストIIに匹敵する伝説のリアルファイト、頂上決戦の結果は。ドラクエIIIが発売前からささやかれていたある「謎」とは。プレーヤーとして、青春の大半をゲームと屈託に費やした永遠の厨二たちに贈る、変格青春小説! 



三十路のゲーマーには結構グッとくる話。


ミステリとしてはちょいアレな気がしますが、お話として普通以上に面白いのでワシとしては何ら問題ないというかむしろすごく楽しく読めました。マリオ、ぷよぷよ、スト2、STG一般、ドラクエに絡めたゲームの話をメインに据えた短篇集なのですが、ミステリとしての面白さよりも「あーそーいやそうだな」的な、リアルタイムでこの辺のゲームに触れていた人間にものすごーく訴えかける何かを持った短編揃い。ワシがSTG好きだってこともあるかもしれないけど、表題作「インサート・コイン(ズ)」は異様なまでにグッと胸に来るものがありました。飛び道具的な話も上手いけど、こーゆー正統派(?)な話も上手いな詠坂雄二。


そう、ゲームには力がある。