スティーグ・ラーソン「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」(上下)



ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上



ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下


月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。
だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。
そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。
背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。
ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。
ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。
ミカエルは依頼を受諾し、困難な調査を開始する。



数年塩漬け状態だった(ソフトカバー刊行時に3部作全部買ってた)のですが映画公開をいい機会と思い積読マウンテンからサルベージして読ンでみました。(現在は全て文庫化済)


おおう、めっちゃ面白いじゃンよ!


登場人物がやたら脱衣したがるのはともかく(?)、中々にエキセントリックなキャラクター、先を読ませぬストーリー、そして(一応)孤島からの消失ものでありその他もろもろのガジェットがきいた(中盤以降の展開ネタバレにつき伏せます)、かなりミステリのお約束がきっちりと抑えられており、それでいて中々にサスペンス性の高いお話となってまして、かつ社会性のあるテーマを扱っているというどれだけネタを盛り込ンだよおいという重厚なエンターテインメント作品となっております。つーか中盤以降の展開はすげぇぜこれ。先が気になりすぎて思わず夜ふかししちまったよ。これはとてつもない本だぜ。


というかワシ的にはある意味バカミス的な読み方もできるお得な書でもありました。主役の一人・ミカエルはまともっぽく描写されているけど、よくよく考えればこいつ恐らく作中でもトップクラスの狂人。もう一人の主役・リスベットさンの行動何て可愛いものですよ。まともなふりをした狂人ミカエルがまともなふりをしている狂人(犯人)を追い詰めるという何ともアンビバレントなお話でもあり、その辺のことを読了後にしみじみ思うと自然といい笑いが浮かンでしまいます。やはり狂気は素敵なエッセンスだな。


というわけで(?)まぁ普通に読ンでもアレな読み方しても大変楽しいミステリですので未読の人はぜひぜひ。