ジャック・ヒット編「完璧な殺人」



完璧な殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

完璧な殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)


妻が自分の親友と浮気していることに気づいた亭主は考えた。妻を殺してその罪を親友に着せてやろう。それも後世に語り継がれるような芸術的な方法で。悩んだ末に男は、ブロック、ラヴゼイら当代一流のミステリ作家五人に相談を持ちかけた。寄せられた回答は入念なものばかりだったが、やがて作家たちは互いの計画をけなし合いはじめた・・・。完璧な殺人法をめぐって、人気作家が知恵と技とを競い合うユニークな合作ミステリ。



アンソロジーじゃなく、かといってリレー小説でもない、何だろこれ。書簡のやりとりによる短編風の長編ミステリって感じ?まぁともかく奇妙な本です。バークリーの「毒入りチョコレート事件」の逆パターン的な話と言ってもいいかもしれない。この本にエントリーしている作家は以下。



上記の作家が「この方法で奥さン殺せばいいンじゃね?」と作者の持ち味を生かした手法(毒殺あり、舞台演出に凝ったり、猟奇的殺人にしたりと)で依頼者へ対し書簡で教えてくれるのですが、よせばいいのに依頼者が他の作家に「あいつこーゆー方法取れって言ってるけどお前どう思うよ?」とさらに全員に書簡で連絡し、他の作家の手法を知った作家は「おいおいその方法はないわ・・・頭おかしいンじゃねーの?」と他の作家を攻撃し始めるところがこの本の面白いところ。このDisりっぷりがかなり楽しく、もうちょい書簡のやりとりを続けて掘り下げて欲しいところだったのですが、異様にさらっと終わってしまったのが個人的にはちょい物足りないなぁというところです。ここからのグダグダの展開(になるであろう)が読みたかったのに!惜しい!


あと、各作家の文章は大変楽しいのですが、そのリンクをつなぐ依頼者の文章が今ひとつ読みにくいのが辛いところ。冒頭を乗り切ると楽しいので、そこはちょっと我慢してもらいたいところです。かなりユニークな作品ですので古本屋でお見かけの際などには査収してみてもいいンじゃないかな


あと「名前は知ってるけどどれも読ンだことないよ・・・(´・ω・`)」って人も大丈夫。なぜならワシも似たようなものだから。 (おい待て)