幡大介「猫間地獄のわらべ歌」



猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)

猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)


お江戸で、密室。館ものに、見立て殺人。


江戸の下屋敷におわす藩主の愛妾和泉ノ方。閉ざされた書物蔵で御広敷番が絶命した。不祥事をおそれ和泉ノ方は“密室破り”を我らに命じる。一方、利権を握る銀山奉行の横暴に手を焼く国許では、ぶきみなわらべ歌どおりに殺しが続くと囁かれ!?大胆不敵なミステリ時代小説。文庫書下ろし。



わはは。


いやこれワシ超好きやわ。書店で何気なく新刊コーナー見てた時、何か久々にピーンときたので購入し即読ンでみたのですけど、これは中々に愉快な内容でワシ満足。ミステリ時代小説の皮を被ったバカ小説ですよ。作中で突然メタ話が展開し

内「密室・・・などという言葉は、この時代にはなかったのではないかと推察いたしまするが」
豊「左様であろうな」
内「そういうことにうるさい読者が結構いるんですけど・・・」
豊「えっ、そこをつっこむ?つっこむべきところは、そこではないのではないかと思うがの?」
内「ならば遠慮なくつっこみを入れまするが、いきなり『密室』ってのは、なんのご冗談かと」
豊「うむ」
内「うむ、じゃなくて」
豊「じゃからな、この話を、ただの時代小説だと思って読み進めてしまう読者がいたら、それは少しばかり困るなぁ、と思ったのでな、あえて密室なる言葉を使ってみたわけなのじゃ」
内「はぁ」
豊「まぁそういうことじゃ。心して読め、と伝えておけい」



みたいな話が繰り広げられればそりゃもう苦笑して受け入れるしかないですよ。ミステリ者としては時代要素よりもミステリのクオリティが気になるところなのですが、そっちも十分以上のデキ。バカをバカの中に隠すよーなネタが炸裂したり、作中の登場人物からもツッコミが入る反則スレスレ(?)のトリックが飛び出したり、豪快極まりない物理トリックが登場したりとバカミス者にはたまらぬ大変素敵なお話でした。あとオチも綺麗に決まった感があって大変良い。


というわけでワシとしては結構オススメです。B級のキワモノ好きなら気に入ると思うにょろよ