會川昇「UN-GO 因果論」



UN?GO 因果論 (ハヤカワ文庫JA)

UN?GO 因果論 (ハヤカワ文庫JA)


“敗戦”後の近未来日本。I国から帰国したばかりの〔探偵〕は新興宗教団体・別天王会での連続不審死事件の捜査協力を依頼された。姿の見えない獣が出現するというその事件は、〔探偵〕が口を閉ざす過去、行動を共にする奇妙な少年・因果と密接な関係があった───坂口安吾安吾捕物帖』原案のアニメ「UN-GO」の劇場公開作を脚本家自身がノヴェライズした「因果論」に加え、小説版オリジナルの前日譚100枚を特別収録。



おお、中々の伝奇探偵小説っぷり。


アニメがあるらしいのですけど当方はそっちは未見。というわけで何も前知識無しに読ンだのですが、中々の伝奇小説かつ探偵物語っぷりでした。というか流石脚本家自らが手がけただけあって、作中のキャラの描写とかかなり上手いなぁと。あと近未来の日本を舞台にしており、最初は「それにする意味あったのか?」と思ってたワシなのですが読み進めるうちに「確かにこれはこの設定じゃないといかンな」と見事に作者の術中にはまってしまった次第。ネット社会と情報操作とか、あり得たかもしれないという割とリアルな描写なのがまたいいな。話に華をそえておる。


あとミステリ者からしたら探偵の助手が使う能力が結構面白くもありました。単純に考えると全て台無しになってしまいそうな設定でありながら、色々と捻ってありストレートな能力の使い方になってないところとか素直に感心してしまいましたよ。これはいい伝奇小説。いい探偵小説。


というわけでアニメ一切見てないワシでも楽しめたので、伝奇小説好きとか探偵小説好きとかいう人は読ンでみるといいと思うのよさ。小説の続編とか出ないのかな。(アニメの続きがあれば可能性があるのかしらん?)