泡坂妻夫「しあわせの書 迷探偵ヨギガンジーの心霊術」



しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)


二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ───。マジシャンでもある著者が、この文庫本で試みた驚くべき企てを、どうか未読の方には明かさないでください。



5年ほど前に出会っていれば・・・!


と悔やンでも悔やみきれない作品。もはや色々と強烈な同種の事例を体験してしまった我が身では、本書の仕掛けがわかっても「ふーン(´・ω・`)」程度の感想しか持ち得ませンでした。たぶン5年前なら「すげぇ!何これ!」とか言ってたと思うンだがなぁ。とはいえこの手の仕込みをまったく体験したことない人なら普通に「すげぇ!何これ!」となると思うけど。


とはいえ、本書は本の仕掛けだけではないところがステキ。仕掛けだけで終わらず、それを使ったネタの展開が優れているのが凄いですよ本書。とりわけ「これだけ手の込ンだことやるのは何のためだよ?」というHow方面についてが圧巻だよな。メタレベル的なオチ含め、かなりの怪作と言えるのではないでせうか。


というわけで面白かったのでキワモノ好きな本格スキーは一読しておいて損はないと思われます。今でも普通に新刊で手に入ると思うので入手難易度は低いと思うのよさ