石崎幸二「皇帝の新しい服」



皇帝の新しい服 (講談社ノベルス)

皇帝の新しい服 (講談社ノベルス)


瀬戸内海の島に代々伝わる、名門美蔵家・婿取りの儀式。櫻藍女子学院高校ミステリィ研究会・お騒がせトリオのミリア、ユリ、仁美は美味しい海の幸に目がくらんで、サラリーマン兼ミス研特別顧問の石崎を花婿候補に仕立てて島へ向かうことに。だがその儀式では過去数回にわたり殺人事件が発生し、いまだに真犯人が捕まっていない。さらに、石崎のもとにまで差出人不明の脅迫状が届く!惨劇は繰り返されてしまうのか?事件の真相は一体!?



いつもの石崎幸二であった。


今回から表紙が可愛らしいイラストになり「すわ石崎幸二も萌え路線に走ったかッ?売れ筋を狙ってしまったのかッ?」と思ってしまったワシなのですが、まったくもってその心配は杞憂でありました。つーか内容はまったくもって石崎幸二以外の何者でもありませンでしたよ、ええ。いつもの序盤、いつもの展開、いつものトリック、いつものオチと全てがこれ石崎幸二。どこをどう切っても石崎幸二。何一つ変わらぬ芸風には尊敬の念すら覚えてしまうぜ。とはいえ本書では毎度のワンパターン化を避けたかったのか、作中の石崎・ミリア・ユリ・仁美が事件に関わる必然性(・・・は言いすぎかな)みたいなものをきっちりやってて、その辺はシリーズものの強みではありますが、なるほど上手いなぁと感心したものでありますよ。


つーか何故表紙をイラストにした。これが恐らく本書最大の罠。イラストにつられて石崎幸二作品に手を出してみた石崎ニュービーが、序盤の塩濃度溢れるしょっぱい展開を読み進めた時に浮かべる困惑顔が手に取る用に把握できるようじゃわい。(慣れると「ああ、頑張ってこれ考えてるンだなぁ」とほっこりするのですがそこまでにはかなりの修練が必要だと思われるしね)


というわけで皆読めばいいと思うYO!


・・・いやほンと、石崎幸二割とオンリーワン的なポジションを確立していると思うのでもっと読まれていいとは思うのだけど・・・