ウラジーミル・ソローキン「青い脂」
- 作者: ウラジーミル・ソローキン,望月哲男,松下隆志
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/08/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2068年、雪に埋もれた東シベリアの遺伝子研究所。トルストイ4号、ドストエフスキー2号、ナボコフ7号など、7体の文学クローンが作品を執筆したのち体内に蓄積される不思議な物質「青脂」。母なるロシアの大地と交合する謎の教団がタイムマシンでこの物質を送りこんだのは、スターリンとヒトラーがヨーロッパを二分する1954年のモスクワだった。スターリン、フルシチョフ、ベリヤ、アフマートワ、マンデリシュターム、ブロツキー、ヒトラー、ヘス、ゲーリング、リーフェンシュタール・・・。20世紀の巨頭たちが「青脂」をめぐって繰りひろげる大争奪戦。マルチセックス、拷問、ドラッグ、正体不明な造語が詰めこまれた奇想天外な物語は、やがてオーバーザルツベルクのヒトラーの牙城で究極の大団円を迎えることとなる。現代文学の怪物ソローキンの代表作、ついに翻訳刊行。
あたま おかしい。
うン、これ以上言うことは何もないってくらいに頭がオカシイ内容でありました。一体何処をどう突っつけばこの発想に至るのか。完全にイカれてやがりますよソローキン。まずもって序盤の「各文豪の文体パロ」からしてもうどうしようもない。すげぇ格調高いフリしてすげぇくだらない内容なのがステキすぎるぜコンチキショー。つーかこの部分はもう訳文の勝利と言っても過言ではあるまいよ。そして「これはキチガイの発想ですよ・・・」と言うしかないカルト教団の思想。大地と交合っておい。しかもこれ比喩でも何でもねえし。あとスターリン治世のパラレルワールドロシアを舞台に展開される「青脂」をめぐる一連のドタバタ。この辺は全体的にテンション高くて狂気の世界を十分すぎるほど堪能できるのですが、中でも極まっていたのがスターリンとフルシチョフのガチの絡みというかホモセクロスのシーン。誰特なンだよこれ・・・と困惑することしかできませンでしたよ。ちなみにスターリンが受けな(そンな知識はいらぬわ) いやほンと、何だよこれ。ソローキンほンと頭オカシイ。
最後のシュール極まりないオチ含め、ここ10年くらいの中では最大最強の奇書と言えませう。何かよくわからンけど何かすげぇな、という実に奇妙な読書体験ができますのでこれはぜひ皆様に読ンでほしいところです。