ヘレン・マクロイ「小鬼の市」



小鬼の市 (創元推理文庫)

小鬼の市 (創元推理文庫)


カリブ海の島国サンタ・テレサに流れついた不敵な男性フィリップ・スタークは、アメリカの通信社の支局長ハロランの死に乗じて、まんまとその後釜にすわった。着任早々、本社の命を受けてハロランの死をめぐる不審な状況を調べ始めたスタークは、死者が残した手がかりを追いかけるうち、さらなる死体と遭遇することになる───『ひとりで歩く女』のウリサール署長とウィリング博士、マクロイが創造した二大探偵が共演する異色の快作。



勝った。


中盤過ぎてからずーっと「???」と思って読み進めてたのですが、最後の解決編に至る前あたりで「ひょっとしてひょっとしたらそーゆーことなのかしらン」と薄ぼンやりと思っていたら案の定そーゆーことであったので、ワシは本書に勝ったと言っても過言ではあるまい。いやまぁ情報は至るところにあったから「だからどーした」と言われればそこまでだけどさ・・・。本書一番のサプライズ(?)に結末で明かされるよりも先ンじて気づいたっつーのはやっぱ気分いいわえ。


というわけで本書、「小鬼の市」。マクロイが生み出した探偵二人が共演する・・・という謳い文句ではありますが、内容的には本格ミステリの味わいよりもサスペンス的味わいが強い作品でございました。もっとも、結末にはきっちりサプライズ(と言っていいでしょ)がありましたが。1943年の作品ということなので戦時下の影響が強いのは仕方ないことなのかもしれませぬが、その辺をきっちり使ってうまいことサスペンスとミステリ的要素を組み込みクオリティ高く仕上げるのは流石マクロイやで。つーか本書、本格ミステリの名作「家蠅とカナリア」の次に書かれた作品なンだよなぁ。またえらく作品の雰囲気を変えたっつーか、変わりすぎたっつーか、これ名義伏せて読まされたら同一人物の所業とは思えぬくらいの変貌っぷりです。いやはや懐深いなマクロイ。


つーわけでワシとしては楽しく読みました。クラシックミステリスキーなら迷わず読むべしっ