福岡ミステリー読書会「ハローサマー、グッドバイ」の巻



というわけで行って来ました。今回のゲストは関東からお越しの翻訳家・東野さやかさん。ちなみにトータルでの参加者は世話人・ゲスト込みで20人。初のSF系ミステリ(?)ということもあり、当初は「参加者集まるの?」と思ってのですが、何ら問題なくほぼ満席となりました。つーか議論の活発さでいけば過去最大クラスだったかもしれない。





ご年配の参加者が持参したサンリオ版コーニイ作品の数々。これだけでもお腹いっぱいですよ。つーか「ブロントメク!」の現物とか初めて見たよ。そしてこれだけでは終わらず、





その方が作成された私家版コーニイ冊子(!)。SFマガジンでコーニイについて言及した文章とか、原書のカバーイラストやら、「何これ超お宝・・・!」と言うレベルの恐るべき内容でした。数部持参されていたので最後に参加者でジャンケンによる争奪戦に。ワシは敗北。ぐぬぬ。(でも貸してもらった)


では以下当日話された内容について。例によって超ネタバレなので、以下ご注意されたし。

  • 読む年代で感想かなり代わるんじゃ?
  • 昔読んだときには読みにくかった
  • 今読むと普通に読めた。そして面白かった
  • 舞台が異星なのでもっと奇想的な、人間外の生き物が生きるすげぇ世界の描写を期待してたのだけど、何か普通の地球の生活っぽくて期待とかなり異なり、がっかりした
  • ラストがよーわからん
  • 冬眠オチよ
  • 人間でない、というのが最初の作者の言葉にあるよね
  • 冒頭、回想のくだりで始まってるのが既に伏線
  • 確かに、「いつ語っているか」を考えると冬眠から覚めたあと、って感じ
  • ラスト、ロリンがやってきた理由は?
  • 憎しみがあるとロリン来ないんじゃ?
  • 寒さへの恐怖、純粋な恐怖のみになるとそれを察知してロリンが来ると思う
  • 粘流(グルーム)が発生する仕組みがイマイチわからない
  • (書評家の香月氏による解説)




ベースの図が一応ワシで、それを香月氏がガッツリフォローしたの巻

  • 罵倒語が「冷血野郎!」とか冷たい云々なので、寒さに対しての何らかの恐怖みたいなのが遺伝的に刷り込まれてる?
  • 大凍結時代を経たあと、冬眠してた住人が復活するのはいいけどインフラとかはどーなってるのかな
  • その辺のフォローが何もないので考えると結構コワイね
  • 若いやつの恋愛は嫌い(発言:大学生)
  • ヒロインが美化されすぎじゃね?
  • ブラウンアイズが妙に男にとって都合よすぎる存在
  • リボンも結構男にとって都合よい存在よね
  • でもリボンの方が魅力的よね
  • つーかブラウンアイズ結構怖い
  • 独占欲高いよね
  • メンヘラ感ある(中盤以降)
  • 逆に人間味があってよくね?
  • 前半の方のブラウンアイズがいいなぁ
  • いやいや後半の方がいいって
  • リボンは純粋な感じ
  • つーかドローヴ少年についての描写ってあまりないよね
  • 何でブラウンアイズに好かれたのかよくわからん
  • 内面描写を取っ払って行動とかだけみればそれなりに魅力的じゃ?
  • ある意味この話セカイ系と言える気がする
  • ミステリとしてはどーなのよ
  • 伏線は回収してるけど、ミステリとしてはちょっとなぁ
  • 読んでて何が「謎」かわからないので、ミステリとは言いがたい
  • でも読了後の「ああー」というカタルシスはあるよね
  • ちなみに刊行当初はあまり人気なかった
  • 年々上がっていった感ある
  • ミステリでもSFでも入手困難な作品が妙に美化されてる気がする
  • スクウィントがえらくあっさり退場したけどどういうこと?
  • リボンとの関係とかを進めるために作者の都合で退場した感強い
  • 世界の細部についての描写があまりないよね
  • 缶詰工場とかも、缶詰の内容についてほとんど説明ない
  • 結局中身明らかになってないし
  • スクウィントが不明になったのは缶詰工場
  • 缶詰の中身は最後まで不明
  • ということは・・・!
  • それ以上聞きたくねー!
  • でもP189にそれらしきことが
  • 何でドローブは最後に冬眠するって気づいたの?
  • 他の人も気づいた可能性はあるよね
  • 幼少時にロリンに助けてもらっていたので、気づくキッカケがあった
  • ロリンって結局何だったの?
  • 妙に献身的だよね
  • 冬の時代を生き抜いた、人間の慣れの果てかも
  • この世界に生きる人たちの寿命とか不明だしね
  • そもそも1日が何時間なのか、1年が何日なのかも不明だし



大体こーゆー感じの意見が出ました。細部があまり詰められてない作品なので、色々と想像する余地があるのがこの作品の面白いところだと思います。ちなみにサンリオ版だとあらすじに「極寒の惑星に済むアンドロイドたち〜」と書かれてるのですが、その一文だけで河出文庫版と印象ががらっと変わるのがまた面白いなぁと思いました。


あと訳者の山岸氏による解説とかその他色々なコメントを記載した資料を頂いたのですが、こちらは内容について一切合切語ること能わずというシロモノですので皆何が書いてあったか想像してハンカチを噛み締めるがいい。いやこの資料すげぇぜ。