フェルディナント・フォン・シーラッハ「コリーニ事件」



コリーニ事件

コリーニ事件


2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り・・・。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。



ドイツらしい・・・というかドイツでしか生まれない作品やな。


何がどうドイツらしいのかを説明すると即ネタバレっつーかそもそもこの情報だけで色々と察せられそうでアレな感じがするのだけど、まぁ察せられたとはいえ作品の面白さにはあまり影響しないと思うのでこのまま突っ走るものですよ(おい)。あらすじを読む限りでは法廷で丁々発止のやりとりがあるかのよーに思えますが、法廷でのバトルは最小限にトドメられており白熱の法廷バトル!というその辺を期待している人にとっては肩透かしを食うこと必死かと思われます。とはいえ、その辺を差し引いても「罪悪」「犯罪」の著者らしい内容である本書、ドイツの法のお勉強にもなり、かつ読了後に色々とやりきれないブルーな思いになるなどいかにもシーラッハらしいという内容になっております。どの辺がヘビーかっつーとそれはネタバレになってしまうので自重しますが。とはいえヘビーな読後感がシーラッハの味と思っているワシとしてはこの傾向は大いに歓迎するものなンだけどな!重い話大好き。つーかもはや味わい的にはミステリっつーよりは純文学的傾向にあると言えませう。いや面白いからワシとしては何ら問題ないけどさ。


というわけで読了してどンよりするほか無い作品ではありますが、国内作品では出せない味の作品であり翻訳作品の魅力をたっぷり味わうことができる作品。翻訳作品の魅力がたっぷり詰まった作品なのでワシとしてはオススメしておきたいところですよ