小説感想 矢作俊彦「リンゴォ・キッドの休日」



リンゴォ・キッドの休日 (角川文庫)

リンゴォ・キッドの休日 (角川文庫)


横須賀の朝、高台の洋館で高級クラブに勤める女の死体が発見された。そして米軍基地内の桟橋沖に沈んだワーゲンからは男の死体が引き揚げられた。無関係に思える二人だが、同じ拳銃で射殺されていたことがわかり、非番だった神奈川県警捜査一課の二村永爾は、署長からの電話で捜査にかりだされることに。所轄と公安、そしてマスコミの目を欺きながら、二村は事件の真相を追うが…。
二村永爾シリーズ第1段!



ザ・ハードボイルド。


ウィットに富んだ会話、世俗を取り込んだ華麗な比喩。もう全てがツボに大ヒットですよ!何とまあ素晴らしいハードボイルド小説なことか。ちょっと構成が分かりにくい、展開が急すぎない?といった難点はありますが。そんな瑣末ごとが気にならないほどのこの溢れるセンス!ハードボイルド小説はセンスが大事だなぁ、とほんと思わされました。


本書は「リンゴォ・キッドの休日」「陽のあたる大通り」の2編からなる中編集。個人的には表題作よりも「陽のあたる大通り」の方が好きかな?ラストシーンが綺麗。


ハードボイルド要素を補給したい方は是非に。