小説感想 ジョージ・R・R・マーティン「タフの方舟1 禍つ星」&「タフの方舟2 天の果実」



タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF

タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF


付近の惑星に周期的に災厄を撒き散らす謎の星、<禍つ星>。そこに赴けば、誰もが巨万の富と絶対的な力を手にできるという。その秘密を追う学者に雇われた宇宙商人ハヴィランド・タフは、サイバー技術者、用心棒ら、いずれ劣らぬ曲者の五人と現場へ向かう。だが、彼らを待ち受けていたのは、超巨大宇宙船<方舟>号からの思いもよらぬ攻撃だった!表題作ほか、宇宙一あこぎな商人タフの冒険を描く連作集、待望の第一弾。




あるレストランで、暴漢い襲われた宇宙商人ハヴィランド・タフ。その襲撃者の星では、モーセを名乗る宗教的煽動家が"十戒"を模した環境戦争を仕掛けているという。その共謀者との疑惑を晴らすべく、宗教家と対決するタフを描く「わが名はモーセ」、トリー・ミューンがポートマスターを務める、慢性的な人口問題を抱えた惑星ス=ウスリムに環境エンジニアリングを試みる「タフ再臨」他、全四編を収録する連作集・完結編。



超絶エンタテインメントSF。


ジョージ・R・R・マーティン超ヤバイ。宇宙商人タフのキャラ造詣、環境エンジニアリングというアイディア、そしてちょっぴり重たい作品のラスト、全てが超ヤバイ。何がヤバイかとゆーと、それは読めばわかる話なので、兎に角未読の人は今すぐ書店で購入して即行で読むべだと思いましたのよさ。


それでは短編集なのでミニコメを。


「禍つ星」


表題作。「方舟」を巡って関係者全員で殺したり殺されたりする愉快なバトルロイヤルもの。SFですけどまったく頭使わずに読めます、素晴らしい。


「パンと魚」


惑星ス=ウスリムのポートマスターであるトリー・ミューンとタフの駆け引きが面白すぎです。作品のテーマに深く関係している内容ですので、読了後読むとまた味わいが変わるのもステキ。


「守護者」


愉快なクリーチャー好きにはたまらん話。冒頭から意外なオチまで非常に楽しめました。1巻ラストのエピソードに相応しい内容、面白すぎです。


「タフ再臨」


ここから2巻。惑星ス=ウスリムへ再びタフが登場するところから始まります。1巻「パンと魚」の続編であり、作品のメインテーマがちらりと顔を覗かせる内容、味わい深いなぁ。


「魔獣売ります」


宇宙商人ハヴィランド・タフのあこぎっぷりが大暴走した内容、先の展開が読めまくりですがニヤリ感が止まりません。ああ愉快愉快。


「わが名はモーセ


これも宇宙商人ハヴィランド・タフのあこぎっぷりが大暴走、ラストのオチがステキすぎです。


「天の果実」


最終話。三度タフが惑星ス=ウスリムへ降り立ちます。ラスト近くでいきなり重たいテーマが牙をむく、個人的には大好きなエピソード。ラストをぐだぐだ書かず、さらりと流しているところがいいなぁ。




以上です。総括としては「面白すぎるのでとっとと読んでください皆様」ということですので、皆読むがいいさ!