小説感想 島田荘司「上高地の切り裂きジャック」



上高地の切り裂きジャック (講談社ノベルス)

上高地の切り裂きジャック (講談社ノベルス)


腹を一文字に切り裂かれた女優の死体が上高地で見つかる。物証をもとに容疑者が逮捕されるも、動機が不明で、アリバイがあった。事件解決の相談を受けた名探偵・御手洗潔は発見現場に残された"あるもの”に着目。それははたして事件解決の突破口となるのか?中篇作『山手の幽霊』も収録。



石岡くんのヘタレっぷりが120%堪能できる一品。


いやもう誰が何とおっしゃられよーが、ミステリ業界のキング・オブ・ヘタレですよ石岡君。京極の関口も良い味だしてますけど、晩年の石岡君にゃぁ遠く及びませんぜ……ってワシは一体何の話をしているんだ(;´Д`)


つーわけで、本作は石岡君のヘタレっぷりが全開ですので、その辺に嫌悪感を抱かれる方はちょいと読み辛いと思われます。文章そのものにはクセとかは無く読みやすいんですが、これは生理的にちょっと、て人もいるだろーしなぁ。


しかし本書を読もうと思われる方は重度の島田荘司好きであると思われるので、ノー問題なんすかねやっぱり。


閑話休題。まあそれは置いといてですね、内容について。


上高地切り裂きジャック


うーん、まあ面白いっちゃー面白いんだけど…。短編を水増しした感がある為、みょーに間が長いとでも言うのか。何だかやたら冗長な印象を受けました。この半分ぐらいのページ数ならスッキリとまとまったろーに。


「山手の幽霊」


こちらは中々良かったです。入り組んだ複数の事象をラストできっちりとまとめあげる手法、さすが熟練の巧の技。不可能状況の組み立て方は、さすが一日の長があるなぁ。


ま、総括するならばシリーズファンなら勝って損なし、といった感じでひとつ。