小説感想 マイクル・イネス「ストップ・プレス」



ストップ・プレス 世界探偵小説全集 (38)

ストップ・プレス 世界探偵小説全集 (38)


犯罪者ヒーロー<スパイダー>生誕20周年を記念して、人気探偵作家エリオットの屋敷ラスト・ホールで開かれたパーティの最中、あたかも<スパイダー>が本の中から抜け出したかの如き怪事件が頻発、ついにはエリオットが現在構想中のプロットとそっくりの事件が発生する。変人揃いのパーティの面々が右往左往するなか、犯人も、動機も、被害者さえも一向につかめぬまま、大団円に向かって物語は進んでいく。全篇が壮大なプラクティカル・ジョークともいうべきイネス畢生の大作。



えーそんなオチ?


ワシはもうてっきりラストで

「…という話を考えたんだけど、どうでしょう?」
「ボツ」



みたいな展開になるとばっかり思っていたんだけど(;´Д`)


まあ冗談は置いといて。


でも正直期待が大きかったためか、読了後の感想としてはちょいと微妙としか言い様がありませぬ。
この展開に無理なくオチをつけるなら、この処理しかないかなーとは思うんですが…。ちょっとなぁ。
つーかガチの本格を期待してこの本に取り組んだのが間違いの元か。


確かに全篇これファルスって感じの内容なんですが、上品なファルスって感じなので「ファルスかっ?ファルスなのかっ?」と問われるとちょっと言葉を濁してしまいます。「変人揃いのパーティの面々」って感じもあまりしなかったし(;´Д`)


しかしバカミスとして考えるならばかなりのモノかと。
作品の展開もバカですが、何よりこのネタでこれだけの大長編に仕上げたイネスの執念に拙者、感服仕った也。
ビジュアル化するとステキ映像が連発、悶絶。


恐らく本書、殊能氏が自身のWEBサイトで絶賛していたので多くの方が興味をお持ちだとは思いますが…。読まれる際は、過剰な期待はせずに肩の力を抜いて楽しむのが吉ですよ、ということでひとつ。