バカミス破戒禄
「で………バカミスは………?」
「は………?」
「せっかく読むんだよ………!ただのミステリってんじゃ味気ないって………!バカミスろうよ………なんでもいいからさ………!」
「…………じゃあ………もう読んだけど、そこの『衣装戸…』」
「嘘をついちゃいけない………!」
「え………?」
「フフ………へただなぁNOBくん」
「はあ………?」
「へたっぴさ………!欲望の解放のさせ方がへた………NOBくんが本当に欲しいのは…『裁くのは誰か?』………!これをコタツに潜り込んで………ツマミを食べながら………冷えたビール飲みながら読みたい………!だろ………?」
「うっ………!」
「フフ………だけど………それはまだ買ってないから………こっちの………持ってるバカミスでごまかそうって言うんだ………NOBくん、ダメなんだよ……!そういうのが実にダメ………!せっかくキレのいいバカミスでスカッとしようって時に………その妥協は傷ましすぎる………!そんなんでバカミスを読んでも面白くないぞ………!」
「………」
「嘘じゃない、かえってストレスがたまる………!読みたかった『裁くのは誰か?』がチラついてさ…全然スッキリしない………!心の毒は残ったままだ、自分へのご褒美の出し方としちゃ最低さ…!NOBくん………バカミスってやつはさ………小出しはダメなんだ………!読む時はきっちり読む方がいい………!それでこそ次の読書への励みになるってもんさ………!違うかい………?」
「言われてみれば………確かにそうかも………じゃあ………」