小説感想 アントニイ・バークリー「レイトン・コートの謎」



レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集 36

レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集 36


ある夏の日の朝、レイトン・コートの主人スタンワース氏の額を撃ち抜かれた死体が、書斎で発見された。現場は密室状況にあり、遺書も発見されたことから、警察の見解は自殺に傾いていたが、不可解な死体の状態や滞在客の不審な行動を目にとめた作家のロジャー・シェリンガムは、自殺説に疑問を感じ、素人探偵の名乗りをあげる。友人アレックをワトスン役に指名し、自信満々で調査に取りかかったロジャーだが………。
当初"?"名義で発表され、たちまち人気を博した英国探偵小説黄金期の巨匠アントニイ・バークリーの輝かしい出発点。



まさしく探偵の喜劇。


かつてクイーンは探偵の失敗を悲劇的要素として作品に盛り込みました。が、本書、バークリーはその逆。探偵の失敗も「失敗したっていいじゃないっ!だって人間だもの」と前向きに捉え、それを喜劇要素として作品に盛り込んでおります。


つーわけで本書にて探偵役を務めるシェリンガム。名探偵なことには変わりないんですが、まあこの人が間違うこと間違うこと(;´Д`) 自信満々で犯人指摘しに行ったらその場で新事実が明らかになり、心中慌てふためきながらも表情に出すまいとするシェリンガムに、ぶっちゃけちょっと萌えた。(おいおい)


プロットも中々に捻りが効いており、正直これが1925年の作品だとはちょっと信じられませんぜ(;´Д`) (近年の読者ならば中盤過ぎたあたりで犯人の検討つくでしょうけど)


まさに黄金時代の名作と呼ぶに相応しい傑作。海外古典ファンはお見逃しなくっ!