小説感想 シオドア・スタージョン「輝く断片」



輝く断片 (奇想コレクション)

輝く断片 (奇想コレクション)


独特の発想と驚くべき語り口。
そしてあまりに切ない感動───
シオドア・スタージョン名作選


あなたはわたしが必要ですか?


雨降る夜に、瀕死の女をひろった男。友達もできず顔も醜い孤独な男は決意する。おれやる、全部やる・・・


「自分がいままで書いた短篇の中でももっとも力強い作品」と著者みずからが語る表題作「輝く断片」、スタージョン・ミステリの最高傑作「マエストロを殺せ」、先駆的なサイコサスペンス「君微笑めば」ほか、高密度なミステリを5篇、さらに彩り豊かなオードブルとして、コメディ調ファンタジー「取り替え子」、奇妙な味の「ミドリザルとの情事」、愛すべき「旅する巌」の3篇をとりそろえた名品の饗宴。"奇想コレクション"第6回配本。



狂人の大祭典。


いやースタージョンって懐が広い作家だなぁ。「不思議のひと触れ」で感じた印象を木っ端微塵にされちまいましたよ(;´Д`) 読了した直後にもちょっと書いたけど、「不思議のひと触れ」がスタージョンのベビーフェイス的側面だとすれば、本書「輝く断片」はヒール的側面と呼ぶに相応しい内容かと。(プロレス的例えはわかりにくいぞ)


作品に登場するのが狂人揃いっつーか、「日常」から「彼岸」へとあっさり踏み込んでしまう猛者ぞろいなので感情移入して読め、とゆーのが無理な話なんですが(;´Д`) 俯瞰から眺めて読むと「狂人には狂人の理論がある」っつーのが実によくわかりますので、その手の話がお好きな人ならば実にイイ微笑みを浮かべて読み進めることができると思います。もちろんワシは愉快に読めたよ。


しかし狂人狂人と言っているくせに、一番好きな話が冒頭の「取替え子」とゆーのはワシとしてもどー弁明すればいいのやら(;´Д`) ・・・・・・・・・だ、だって面白かったから仕方ないじゃないっ!


ワシとしては愉快に読めましたけど、人によっては「これはちょっと・・・」と思ってしまうかも。収録作「ニュースの時間です」が面白く読めれば本書を楽しめると思いますので、購入される場合はその辺をチェックしてみるとよいかもです。