小説感想 ドン・ウィンズロウ「砂漠で溺れるわけにはいかない」



砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫)

砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫)


二ヵ月後にカレンとの結婚式を控えたニール・ケアリーにまたも義父グレアムから電話が入った。またしても仕事だ。突然ラスヴェガスに行ってしまって帰ってこようとしない八十六歳の爺さんを連れ戻せというのだ。簡単な仕事。無性に子どもを欲しがるカレンに戸惑い悩みながら、ニールはヴェガスに向かった。ところが元コメディアンのこの爺さん、なかなか手強く、次々におかしな方法でニールの手からすり抜ける。そして事態は奇妙な展開を見せる。爺さんが乗って逃げた車が空になって発見されたのだ。砂漠でニールを待ち受けていたものは何か?



ついに完結。


シリーズ1作目「ストリート・キッズ」でデビューしたニール・ケアリーの冒険譚もついに終わりの時が。ストーリー的には4作目で終了、最終巻はその後日談・・・と聞いてはいたのですが、いやいやなかなかどーして。最終巻なのにあえてこのラストを持ってくるあたり、ドン・ウィンズロウはやはり只者ではありませんぜ。賛否両論あるでしょーけど、ワシはこのラスト好きだなぁ。ストーリー的には重厚さが何一つありませんので、ひじょーにうすっぺらい内容なんですけれども(;´Д`)


しかし東江氏の翻訳が冴え渡りすぎている為か、はたまたラストの余韻の為か、ストーリーの割には結構インパクトはある内容かと。少なくともシリーズの読者が失望するよーな内容ではないと思うけどなぁ。(まあそれは人それぞれか)


ま、ワシとしては十分満足な内容でした。シリーズ1作目「ストリート・キッズ」および2作目「仏陀の鏡への道」はワシ的にオールタイムベスト級の作品ですので、未読の方はぜひにとお勧めしておきたいところです。