小説感想 霞流一「プラットフォームに吼える」



プラットホームに吠える (カッパ・ノベルス)

プラットホームに吠える (カッパ・ノベルス)


警察内部の広報誌を編集しているアキラが、ライターで元捜査一課警部の祖父・ヒタロー爺とともに遭遇した、奇妙な墜落死事件。事件の背後には、被害者・鈴鹿咲江の悪評と、その姉の非業の死、そしてなぜか狛犬の姿が見え隠れしていた・・・。上りと下りの列車がともに停車した一瞬の間に、プラットホームでは何が起こってたのか!?鉄道ミステリーとギロチン密室の融合、さらには狛犬の謎。巧緻と機知に富んだ、驚くべき意欲作!



あれ?バカミスじゃないですよこれ?


ビックリするくらいにまともなミステリ。つーかこのくらいのトリックは霞ミステリではもはや常識ですよ、ええ。もっとも他の作家さんが考案していると「おおぅ、なかなかに狂ったトリックを考えやがるな。いいぞっ!」と思ったかもしれませんけど。(ワシ的には霞流一はかなり高くハードルを設定していておりますゆえ)


かつてゲーテが死の間際に「もっと!もっとおバカを!」と言葉を残したのはあまりにも有名なエピソードですが、ワシもまったくもってそのとおり、今回の霞ミステリには狂気がちと不足していると思いました。はい今見え見えの嘘つきましたよこの人。


つーか「サイモンと言えばガーファンクル」「ウッチャンに対するナンチャン」「高森朝雄の原作」と言えば「あしたのジョー」とゆーぐらいに「霞流一と言えばバカミス」ではなかったのかっ!そもそも鉄道ミステリーとゆー割に大して鉄ミス(強引な略)していないのはどーゆーことだっ!あちこち移動範囲広げすぎてちょっと強引過ぎる展開じゃないのかっ!狛犬の事件への絡ませ方はかなり無茶入っているんじゃないのかっ!でもワシは強引なのは結構好きだぞ!(わかったから落ち着け)


・・・こほん。大変失礼しました。えーと、事件への導入部がちと苦しいけれども、それを受け入れることができれば結構な良作の本格ミステリを楽しむことができるんではないかな、と。ラストの畳み掛けっぷりとかは、さすが霞流一とゆー感じで中々楽しめましたし。


まあでもやっぱり氏のファン以外にはちょいと薦めにくいと思うっす。しかし当ブログを閲覧している方はきっと訓練されたバカミス好きに違いない、すなわち霞流一が大好きで仕方ない人たちばかりだよな、ならば問題なくお勧めできるので別にいいか、と推測したので全てよしとする。(微妙に三段論法)


そして読了後に「面白いけれども、なんかこう、求めているものと違うよなぁ。うーん」とゆー微妙な笑みを浮かべるとよかろーて。