小説感想 アントニイ・バークリー「絹靴下殺人事件」



絹靴下殺人事件 (晶文社ミステリ)

絹靴下殺人事件 (晶文社ミステリ)


ロンドンに出たまま消息を絶った娘の行方を探す父親の手紙に動かされ、ロジャー・シェリンガムが調べてみると、劇場でコーラスガールとして働いていた彼女は、数週間前に絹のストッキングで首を吊って死んでいたことが判明する。しかし、同様の事件が続発していることを知り、疑惑を抱いたシェリンガムは独自に調査を開始、やがて若い女性ばかりを狙う絞殺魔の存在が浮上する。無差別殺人に取り組んだバークリーの才筆は、ここでもこのテーマに強烈な一ひねりを加えている。



「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」の後に読むとよろし。


だってそーしないとラスト1行があんまり生きてこないと思うので。しかし、いやー邪悪だなぁシェリンガム。意外と根に持つタイプなのか?(;´Д`)


本作は名探偵が解決するにはちと愛称が悪い「都市型犯罪」を扱っているので、少々(探偵にとって)都合の良い展開になってしまっているのが惜しいところなのですけれども、十分面白かったですよ。正直、犯人の意外性とかは皆無に等しいと思いますが(;´Д`) でも動機などの面ではかなり捻りが効かせてあったしね。十分に佳作と言えるのではないでせうか。


本作のみだけで評価すると「ちょっと微妙かな・・・?」と恐る恐る言いたくもなりますが、前述したよーに「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」とセットで考えるとかなり評価急上昇です、いやほんと。興味のある方は是非2作まとめて読むことをお勧め致しまする。