小説感想 アラン・グリーン「くたばれ健康法!」



くたばれ健康法! (創元推理文庫 165-1)

くたばれ健康法! (創元推理文庫 165-1)


全米に50,000,000人の信者をもつ健康法教祖が死んだ。鍵のかかった部屋で、背中を撃たれて、撃たれてからパジャマを着せられたらしい。この風変わりな密室殺人をキリキリ舞いしながら捜査するのは、頭はあまりよくないが正直者で、人はいいが強情な警部殿。アメリカ探偵作家クラブ賞に輝く、ユーモア本格ミステリの傑作。



バカ要素で味付けされていますが、根っこはガチの本格。


警部殿の行動があまりにもおバカっつーか「あ、ありえねぇー!」と誰もが突っ込みを入れたくなるシロモノであり、かつ愉快極まりない展開が多めでしたゆえ、ワシ的には本書をバカミス認定したい所存。しかもこの警部殿、割りと萌えキャラであるところがまたステキ。後半、酒が入った警部が泣きを入れ始めるシーンで萌えない人間がいるだろーか、いやいない。(反語)


・・・まぁそれは置いといて。えっと、全編にわたってスラップスティックな笑いがちりばめられているのですが、その中に伏線を貼っていたりして中々に油断ならない内容でしたよ。解決編において、事件の真相に気付くシーンの一連のシーケンスは見事の一言に尽きますにゃ。(偶然気付いた、ってことにせずちゃんと意味を持たせてるし) あと解決編のシチュエーションがあまりにもおバカすぎてワシ大満足。ぐだぐだになっていく様が実にステキだ。


中々に愉快な内容だし、密室ジャンルのミステリとしても結構良くできていると思いますゆえ、ワシ的にはお勧めのブツでございます。多少訓練されたミステリ読みならばトリックには気付けるかもしれませんが、なぁに返ってその方が楽しく読めるさ。(たぶん) バカミススキーの自覚があるならば読んで損はないっしょ。ワシは楽しく読めましたぜ。