小説感想 深水黎一郎「ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!」



ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス)

ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス)


新聞に連載小説を発表している私のもとに一通の手紙が届く。その手紙には、ミステリー界最後の不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノの小説案を高値で買ってくれと書かれていた。差出人が、「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴える、究極のトリックとは?読後に驚愕必至のメフィスト賞受賞作!



うむ、さすがメフィスト賞受賞作。


「読者が犯人」トリックをウリにしている時点である程度予感がありましたが、読了後はそれが確認に変わりました。ええ、もちろん本書はバカミスですともさ。こんな愉快なトリックを何とかフェアに成立させよーと頑張って工夫を凝らした作者の情熱には思わず頭が下がるってもんですぜ。その甲斐あってか、新人さんとは思えぬほどのクオリティーを持ったミステリに仕上がっているかと。文章も先のメフィスト賞まほろ氏に比べると桁違いの上手さだからストレスなく読み進められるし。(・・・ま、まぁまほろ氏はあれで味があるから良いですけど)


堅牢な作りが故にバカトリックがキラリと光るナイスなミステリ。ネタがネタだけに好き嫌いがはっきり出そうな気がしますが、なぁに当ブログを閲覧しているよーな方ならば何も問題はない。ないったらないっ!つーわけでオススメでございます。冗談抜きで面白かったですよん。


・・・でもバカ要素に過剰な期待は止めておけよ?NOBさんとの約束だ。(基本的に真面目な作品ですので・・・)