小説感想 倉坂鬼一郎「四神金赤館銀青館不可能殺人」



四神金赤館銀青館不可能殺人 (講談社ノベルス)

四神金赤館銀青館不可能殺人 (講談社ノベルス)


花輪家が所有する銀青館に招待されたミステリー作家屋形。嵐の夜、館主の部屋で起きた密室殺人、さらに連鎖する不可能殺人。対岸の四神家の金赤館では、女の「殺して!」という絶叫を合図に凄惨な連続殺人の幕が切って落される。両家の忌まわしい因縁が呼ぶ新たなる悲劇!鬼才が送る、驚天動地のトリック!



  _  ∩
( ゚∀゚)彡 バカミスバカミス
 ⊂彡


つーわけで(?)バカミス以外の何モノでもないのです、これ。つーかワシ、倉坂氏のミステリはこれが初トライ*1だったのですけれども、こんなキレたミステリ書く人だったとはまったく存じ上げませんでしたよ。これはもうお美事!まっことお美事でござった!と激賞するしかありませぬ。すげーぜ倉坂氏!ぐっじょぶだっ!


まずもって冒頭の登場人物表、ページ数の割にはあまりにも多すぎる人数からして素晴らしい。この時点でワシちょっと笑っちまったよ。そして本編に入った早々、主人公(?)の作家・屋形の「泉水館第四の秘密」とゆー作品のメイントリックが暴露されるんですが、このネタでワシもう悶絶。笑い死ぬかと思いましたぜ、マジに。前情報無しに読んでた人ならばこの時点で読むのを辞めてしまうかもしれない・・・そんな危険を伴ったネタをあっさりと繰り出してくるところにあこがれますしびれます。冒頭からわずか20ページちょっとでここまで狂気を感じられる作品はそーはないですぜ。


で、ここからは割とふつーのミステリとして展開するんですけれども・・・。そこに仕込んだ仕掛けがまた実にくだらなくて素晴らしいの一言に尽きます。エピローグであるネタが明らかになるんですが、そのネタを意識して本編読み返してみると、「・・・な、なんという無駄な労力・・・ッ!」と脱力する事必至。もうね、ほんとキレてるよなぁ倉坂氏。一体何が氏をここまで駆り立てるのか。


そしてラストで炸裂する大ネタ。このネタが炸裂した瞬間、ワシはもう眩暈すら覚えましたよ。もうね、ほんとキレて(以下略)


つーわけでここまで見事にバカミスのツボを突かれるとワシはもう全面降伏するしかありゃしません。混沌ここに極まれりとゆー他に類を見ない本作、バカミススキーのみならず「普通の本格はもう飽きたよ」とゆー方にも是非是非。

*1:翻訳作品は読んだことあるんですけどねん。「カリブ諸島の手がかり」とか・・・ってそーいやこの作品もかなりキレた文章だったよーな気がする