小説感想 法月綸太郎「犯罪ホロスコープ? 六人の女王の問題」



犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)

犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)


星座に隠された六つの命題!
探偵・法月綸太郎がみせる鮮やかな推理!


売れっ子ライター・虻原がマンションから転落死した。そのマンションには、虻原もかつて所属していた劇団の主宰者が住んでいた。最近、その劇団の芝居を巡り、二人には感情のもつれがあったらしいのだが・・・。虻原は、寄稿した雑誌の最終回のコラムに不可解な俳句を二首、残していた。さらに「六人の女王にたずねるがいい」という謎のメッセージが。はたして、俳句に隠された謎とは?(表題作)
星座にまつわる六つの謎を解き明かす、まさに端正な本格推理!



作者の言葉に

六つの星座に六つの謎───気楽に読んで愉しめる、そして後にはいっさい何も残さない、そんな娯楽奉仕に徹したミステリー集になっているとよいのですが。



こんなことが書いてあるのですが、ワシも本書はまさにそれを体現した娯楽要素に満ち満ちた気楽な本格ミステリの短篇集だと思いました。いや、だからと言って手を抜いているわけではなく、「さすがは法月綸太郎だぜ・・・!」といった捻りの効いた作品もあったりして中々に油断ならないんですけれども。


とはいえ、基本的には重苦しい感じを受けるものはなく、ほんとに「ミステリーって楽しい!」と思えるエンターテインメントに徹した作品揃い。ちょっと強引じゃね?と思える作品(「ギリシャ羊の秘密」とか)から短編の醍醐味を味わえる切れ味抜群の作品(「ゼウスの息子たち」「ヒュドラ第十の首」など)など、さくさくと読める逸品揃いなので、本格ファンのみならず広くオススメしたいところ。重厚な作品読んでうんうん唸るのもいいけど、こーゆーのも読まないとやっぱ息が詰まるぜっ!