小説感想 伊藤計劃「メタルギアソリッド ガンズ・オブ・パトリオット」



METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS

METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS


「最強の兵士を人為的に創りだす」。世界の暗い欲望から生み出された"伝説の英雄"ソリッド・スネーク。幾多のミッションを完遂し、世界の危機を救ってきた彼の肉体は、急速な老化に蝕まれていた。戦争を変貌させ、スネークを死の淵へと追い詰める世界の呪いとは何か。宿敵にして兄弟であるリキッド・スネークの恐るべき野望とは何か───。
余命いくばくもないソリッド=オールド・スネークの最後の闘争が、はじまる。



PS3で発売された「メタルギアソリッド4」のノベライズ。手がけたのが「虐殺器官」の伊藤氏となれば、メタルギアのファンでなくても手が出るってもんですよ、ええ。(何でも氏はメタルギアが好きで好きで同人活動とかもやっていたらしい)


で、ワシはメタルギアソリッドはPSの初代のヤツしか遊んでないのですが、そーゆー読者にも優しい作りになっており、作中にて過去の事件などにも触れ何があったかを一応解説してくれております。とはいえ内容がややこしいので、事態を把握するのに戸惑うかもだが。まぁ普通はシリーズのファンが手を出すブツだから、あんまその辺でケチを付けるのは見当ちがいも甚だしいなのかもだが。


内容的にはソリッド・スネークの最後の闘争をオタコン(ハル=エメリッヒ)の視点で語るというものであり、全体的に伊藤風味といいますか、伊藤氏独特の飄々とした文体でありながらもメタルギアらしい熱さと説教めいた何かが感じられるといいますか、とにかくその辺の凡百のノベライズに比べるのが失礼なぐらいのクオリティー

ここからは俺の役割だ。おれが、おれたちが世界を狂わせた───おまえの人生さえも。おれはそれを止める義務がある



ラスト近くの展開はすげー心にグッと来たなぁ。過去から未来へ、伝えるべきもの、伝えるべきでないもの、消滅させなければならないもの・・・その辺のテーマがラストに何とも余韻を残す、個人的には凄く気に入った作品でございます。これならゲームも遊んでみてもいいかも?