小説感想 小林泰三「モザイク事件帳」
- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (45件) を見る
犯人当て、安楽椅子探偵、日常の謎、バカミス・・・ミステリでお馴染みの七つの「お題」を解くのはマッドサイエンティストに記憶障害の探偵、超天才殺人者!一筋縄ではいかない狂った事件、犯人、探偵を巧緻な論理で寄せ木細工のように組み上げた、叙述トリックの名手としても知られる鬼才の真骨頂。
精密な論理が、そこはかとない黒い笑いを構築する待望のミステリ連作集。
うむ。おバカ。
・・・ええと、七つの「お題」に則ったとはいえ、収録されてる作品全部バカミスじゃね?これ。特に「更新世の殺人」は狂気極まりない下らなさと「正直者の逆説」のメタメタグダグダっぷり、「遺体の代弁者」の「これはねーよ」というアイデアは一読に値するものとワシは強く強く思うゆえにバカミススキーなら迷わず手に取り読むが吉かと。「路上に放置されたパン屑の研究」もそこはなとない悲哀があるものの、「でもバカだなぁ」と思わせるあたりステキ!としか言い様がありません。
でもまぁ300ページほどの内容に7篇も収録されているので、キレはあるけどコクはないっつーかご都合主義的展開っつーか、とにかくテンポ重視でさくさく読めるタイプの作品である故、どっしりとした読み応えを期待していると肩透かしを食うので注意されたし。
ちなみに「更新世の殺人」に登場する超限探偵Σがかなりナイスなキレっぷりを発揮していたので、是非とも小林氏にはこの人をメインに据えた長編を書いてもらいたいなぁとワシは愚考するものであります。書いて!書いてよぅ!