小説感想 麻耶雄嵩「貴族探偵」



貴族探偵

貴族探偵


自称「貴族」、趣味「探偵」の謎の青年が、生真面目な執事、可愛いメイドなどの召使いとコネを駆使して、難事件を華麗に解決!知的スリルに満ちた本格ミステリー。



ねじ曲がっておる。


この発想はなかった > 探偵役。いやまぁ作中で何度も言及されているよーに、執事やメイドが貴族に属するものならばそりゃ貴族が探偵名乗っても不思議ではないよな・・・。というか麻耶雄嵩はストレートな探偵役というものに対して何か含むところでもあるのか?いやまぁ面白いからいいけどさ。


最初の短編が2001年で、最後の収録短編が2009年と10年近くに渡って展開された作品ですが、まぁ作品のテンションとしては概ね高水準。中でも長編「蛍」の後に書かれたという短編「こうもり」が出色の出来かな。この短編、トリックそのものは大したことないンだけど、そのトリックを成立させるために使っているテクニックが半端ないンですよ。このテクニックには正直感動。他の事例がまったく思いつかン。ありそうでなかったよねこのタイプ。ぼんやり読んでるとその効果に気づかないところがまた憎たらしい。この1編だけでも本作にはトライする価値ありと断言いたしまするので本格スキーはさっさと読むがよいよいよい。


というか正直、「こうもり」以外はあまり印象に残らないよねこれ・・・