ジョン・R・キング「ライヘンバッハの奇跡 シャーロック・ホームズの沈黙」



ライヘンバッハの奇跡 (シャーロック・ホームズの沈黙) (創元推理文庫)

ライヘンバッハの奇跡 (シャーロック・ホームズの沈黙) (創元推理文庫)


のちに幽霊狩人として知られる若き日のトマス・カーナッキは、美しい女性アンナ・シュミットに出会い、ともにライヘンバッハの滝へ赴くことに。そこで彼らは、滝の上で二人の男が争い、片方が突き落とされるのを目撃する。川を流れてきた男は一命をとりとめたが、記憶を失っていた。そんな彼らに迫りくる謎の男の影……。ホームズの大空白期間を埋める、二大探偵夢の共演の物語。



あえてバカミスと主張したい。


というかカーナッキと聞いてどのくらいの人が「ああ、あの幽霊狩人」と思えるのだろうか。一応発表年代的には「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」に含まれるらしいけど。作者は何を考えてこの二人を共演させようと思ったのだろう。興味は尽きない。だってカーナッキの事件簿って1冊しかないし。マイナーもマイナーな探偵・・・って探偵って言えるのかカーナッキ。


ということは置いておいて、中々労作のホームズパスティーシュに仕上がっております > 本書。ホームズはもとより、モリアーティ教授のエピソードにもたっぷり筆を費やしており、とりわけイギリスの某有名殺人事件における役割を描写したエピソードは読ンでるとモリアーティへの愛情がひしひしと感じられ、何か微笑ましくなってきます。ホームズを補佐することになるカーナッキは幽霊狩人としての誕生譚的な味わいが強いですが、ちゃンと電気式五芒星も出てきますのでご安心をば。というか全体的にお祭り気分で「細かいこたぁいいンだよ!」という大変楽しい内容なので何も考えずに読むが吉。そして最後の展開でイイ笑いを浮かべるがよいよいよい


ホームズパスティーシュって楽しい。