夢枕獏「涅槃の王4」




ザリウス国の王と行動を共にするシッダールタは、真理に近づく自分を意識しながら不老宮を目指していた。しかも、恐るべき野望を胸に秘めた剣士アゴンも…。ついに伝説の千年王国ザラ国の秘密が明らかになる時が近づいてきたのだ。シッダールタが仏陀に目覚める瞬間を描く超伝奇大河巨編、完結。



というわけで完結です。神獣変化の<幻鬼編><覚者降臨編>の2編が収録。全ての関係者が各自の思惑を持ち不老宮を目指し、不老長寿の王ザラの謎が解かれ、シッダールタは問答を重ねることにより仏陀への覚醒を果たす、というのがメインのお話なのですが・・・。結局終わってみれば、「上弦の獅子を喰べる獅子」の別バージョンというか、姉妹編というか、そンな印象の作品でございました。上弦の獅子の方が作品として早いので、そっちでやりきれなかったというか書き足りなかったことをやった、って感じかな。本書の方が上弦の獅子よりも文章量が多く、よりねちねちしたシーンになっておりワシ的にはこっちが好み。獏文体の真髄を心の底から堪能しましたよ。


しかしシリーズ完結に15年か・・・。キマイラとか餓狼伝はすでにこの倍の年月・・・(´;ω;`)