夢枕獏「キマイラ」1〜9+外伝



キマイラ 1 幻獣少年・朧変 (ソノラマノベルス)

キマイラ 1 幻獣少年・朧変 (ソノラマノベルス)


小田原のとある高校の春。その美しさゆえか、新入生・大鳳吼はたびたび鉄拳にさらされる。しかしそれは、恐ろしい目覚めの序章に過ぎなかった。しかも、学園を支配する上級生・久鬼麗一もまた、同じ宿命を負っていたのである。やがて、大鳳は自らの意思で丹沢山中に姿を消し、久鬼は、何者かの手によって、箱根の山荘に監禁の身となる。キマイラとは何か?著者入魂の「生涯小説」の幕が上がる。



昔序盤は読ンだことあったけど、後半は未読だったので正月にがっつり一気読みしました。獏せンせが30年かけて書いた分量を2日で踏破するこの幸福。たまらぬ本であった。


というわけで大変幸福な気持ちで読ンで「これはとてつもない本だぜ」と思ったのですが、獏ファンとしては色々と思うものがありました。30年もやってるので本書には獏せンせの良いところと悪いところが大量に詰め込まれてるンだよなぁ。悪い点について語りだすと長くなる(話進まない、長い過去話の途中でさらに長い過去話になり現代に話が戻らない、キャラ全部に見せ場作ろうとして逆に薄くなってる、主役の出番なさ過ぎだろ、いいから続き書けなどなど)あるのですが、良い点であるところの「問答無用の面白さ。つべこべ言わず読め」と千言万語を費やすよりもこの一言で全てが済ンでしまう圧倒的な物語のパワーにただワシはひれ伏すのみですよ。いったいどうする。どうしてくれる。これはとてつもない本だぜ。


というかそろそろ龍王院さンに見せ場作ってあげてください。龍王院メインの外伝って、あれ実際のメインは宇名月典善さンじゃないですか・・・(´;ω;`)