山尾悠子「ラピスラズリ」



ラピスラズリ (ちくま文庫)

ラピスラズリ (ちくま文庫)


冬のあいだ眠り続ける宿命を持つ“冬眠者”たち。ある冬の日、一人眠りから覚めてしまった少女が出会ったのは、「定め」を忘れたゴーストで───『閑日』/ 秋、冬眠者の冬の館の棟開きの日。人形を届けにきた荷運びと使用人、冬眠者、ゴーストが絡み合い、引き起こされた騒動の顛末―──『竃の秋』 / イメージが紡ぐ、冬眠者と人形と、春の目覚めの物語。不世出の幻想小説家が、20年の沈黙を破り発表した連作長篇小説。



まさかの文庫落ち。国書版はちょいお高めでずーっと買うか否か悩ンでたので大変ありがたい文庫版です。ありがとうちくま文庫。この調子で他のも文庫ば・・・いやもう国書版で買うか。


で、本書ですが凄まじいまでの幻想小説っぷりでお脳を上手く対応させながら読まないと「???」という感じになってしまうやも。ここはじっくり、3歩進んで2歩下がる的戦術を取りながらゆっくりこの世界を噛み砕きながら読み進めるが良いかと思われます。さすれば言葉が生み出す素晴らしき幻想世界にて遊ぶことが出来ませう。ワシ、正直最初はこの世界観に馴染むまで結構かかった(それこそ戻り読みを何度もやりましたよ)けど、慣れちゃうとすらすら頭に入るのよね。冬から春へ、滅びから再生へと向かう目覚めの物語。冬の夜長にゆっくり味わってみては如何でせうか。