ジョン・ル・カレ「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」



ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)


英国諜報部〈サーカス〉の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ───引退生活から呼び戻された元諜報部員スマイリーは暗黒の領域に分け入る困難な任務を託された。情報によれば、この二重スパイは彼のかつての仇敵、ソ連諜報部のカーラに操られているという。スマイリーは〈サーカス〉の記録を遡り、関係者の証言を集め、複数の容疑者を洗いあげていく。やがて彼が見いだす意外な裏切者の正体とは?敵味方の区別もつかぬ灰色の世界に展開するスマイリーとカーラの凄絶な頭脳戦。二人の宿命の対決を描きスパイ小説の頂点を極めた3部作の第1弾!



映画化記念ということで読ンでみました。有名な作品なのでさぞかし面白かろうと思ってわくわくして手にとってみたのですが、まぁ読みにくいこと読みにくいこと(´・ω・`) つーかこれで旧版より読みやすくなったってどーゆーことなのよ。聞いた話では原書のル・カレの文体からして読みにくいってことだから、まぁ仕方ないっちゃーないことなのかもだが。


というわけで読まれる方はどっしり腰を据えてじっくりと時間かけて取り組む気概が必要と言えませう。エンタメ要素はほぼ皆無であり、もはや味わいは文学。渋い。渋すぎる。だがそれがいい。読みにくいけど、読みにくいからつって内容が面白くないわけではない。つーか面白い。面白すぎる。味わい深すぎる。こーゆー3歩進んで2歩下がる的な読書もたまにはよいものです。サーカスの裏切り者が明らかになっても、2度3度読む度に味わいが深まるばかりのすげぇイカス本だぜ。


軽い気持ちで手を出すと火傷すること必至な本ですが、この重厚さは大層魅力的であります。さすが名高い名作だぜ。