フェルディナント・フォン・シーラッハ「罪悪」



罪悪

罪悪


ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。麻薬密売容疑で逮捕された孤独な老人が隠す真犯人。―弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。刑事事件専門の弁護士が、現実の事件に材を得て描きあげた十五の異様な物語。世界各国を驚嘆せしめた傑作『犯罪』の著者による、至高の連作短篇集。ドイツでの発行部数30万部突破。ドイツCDブック賞ベスト朗読賞受賞。



タイトルが割と全てを物語っているというか、これ以上ないってくらいに「罪悪」に浸れる逸品揃いの短篇集。ヘビーな作品からライトな作品まで、作者の計算により完璧に構成されたこの作品に触れないという手はありませぬぞ。物語ってすげぇ、と思わされる圧巻の作品集でした。個人的には「ふるさと祭り」が色々な意味でベストですが、最後の「秘密」も味わい深い。