夢枕獏「大帝の剣」(全5巻)



大帝の剣1 <天魔降臨編> <妖魔復活編>

大帝の剣1 <天魔降臨編> <妖魔復活編>



大帝の剣5 <聖魔地獄編>

大帝の剣5 <聖魔地獄編>


時は関ヶ原の戦塵消えやらぬ荒廃の世。身の丈およそ二メートル、岩を削り取ったような剛健なる肉体に異形の大剣を背負って、旅を続ける男がいた。その男の名は万源九郎。鬼神の如き強さを誇る源九郎は、徳川方の刺客に命をつけ狙われることになる。忍術妖術入り乱れ、彼とその大剣を巡る壮大なる物語が音を立てて動き始める―。縦横無尽に歴史をぶった斬る、超弩級時代剣劇の幕が開く。



恐ろしいことにちゃンと終わってた。(ってこれ「新・魔獣狩り」のときも同じ事思った気がする)


というわけで獏せンせの「大帝の剣」この度完結したので一気読みしますた。開始から終了まで26年?中断期間が十数年あったのだけど、よくもまぁ終わったものだなぁ。つっても当初の予定だと日本を飛び出てアジアで大暴れ的なシルクロード編をやろうって構想があったみたいだけど。いやまぁそこまでやるとあと50年は終わらぬわな。いい判断だ獏せンせ。それなりの着地をしておるのでこの結末はワシ的には十分にアリと言えよう。


本作の特徴としては獏せンせの悪いところ、ぶっちゃけて言うと「長い過去話」があまり全面に出ていないということが上げられましょう。最近の獏せンせは創作手法としてがっつり過去の話をやるのではなく、断片的に過去を入れるという方針を取っているみたいなのですが、それがかなり効果的に働いており物語のスピード感が失われずテンポよく話が進ンでました。やればできるじゃねーか獏せンせ。


あと話を畳みにかかった終盤はともかく、序盤の盛り上がりは異常ですよこいつぁ。「おいおいそこまで広げて大丈夫かよ獏せンせ」的なわくわく感がハンパない。これはもうある意味獏せンせ版の魔界転生と言ってもいいのではなかろうか。とはいえ思いつきで出しちゃった感がかなり強かった某お侍があまり最後まで話に絡まなかったのはちと悔やまれるが。出番はそれなりにあったがもうちょい活躍させてあげてよ獏せンせ・・・


というわけでたまらぬ読書であった。獏ファンはもちろンのこと、伝奇小説ファン、SF小説ファンならばスルーするのは勿体無い作品と言えませう。この調子でキマイラと餓狼伝も頼みますよ獏せンせ。