神林長平「いま集合的無意識を、」



いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)

いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)


30年以上SFを書いてきたぼくは、第一線をはなれたような気分になっていた───ベテラン作家が、伊藤計劃『ハーモニー』と3・11後のフィクションの可能性を考察する表題作、深井零がパーソナルなコンピュータを追い求めた記憶を語る“戦闘妖精・雪風”シリーズのスピンオフ「ぼくの、マシン」、多世界解釈を巡る異色スペースオペラ「かくも無数の悲鳴」など、変遷し続けるコミュニケーションの様相を切り取った全6篇を収録。



雪風のスピンオフはもはやスピンオフとかゆーシロモノではなく、普通に「グッドラック」の1シーンと言われても何ら違和感ないレベル。もはやアクションからアイデンティティって何よ?的な方向に向かっている雪風の明日はどっちだ。ジャムはそこにいるぞ。


他の収録作も大変面白いのですが、やっぱ本書の目玉は伊藤計劃氏の著作を扱った表題作「いま集合的無意識を、」ですよ。これ「ハーモニー」読ンでないとピンと来ないと思うのですが、読ンでいる人ならば「うぉっ」って思うはず。3・11を経たSF読者が向き合う現実がここにある。ぜひ読ンで欲しいところ。あと飛浩隆氏の解説もすげぇですよ?