夢枕獏「月の王」



月の王 (光文社文庫)

月の王 (光文社文庫)


人語を解する狼を操る芸人・ダークシャが街に現れてから盗人騒ぎが起きだし、絨緞屋の主人は喉を噛み切られ殺された。やがてダークシャの死体が見つかり、狼は姿を消した。狼に興味を持った若き王子アーモンは、従者ヴァシタを連れて、シヴァ神が舞い降りるというムリカンダ山に向かう(表題作)。古代インドを舞台に繰り広げられる冒険譚5編。



やっぱ獏せンせのビジュアルセンスはすげぇな。つーか本書は語り部が語るよーな文体で話が進むのだけど、これがまた「話聞いている」感がすげぇ出てて通常よりも余計に想像力が刺激されるぜ。そしてテンポはいつもの獏であり、つまりは異様な酩酊感が出ますな。これはとてつもない本だぜ。


内容的には「闇狩り師」の原型みたいな感じなのだけど、主役のアーモンとこの語り口とあわせてかなり魅力的な話になっているので、そのうちこのキャラ使ってまた別の話やって欲しいなぁ。


あとケン・イシカワ先生が漫画化しているのだけど、この話からあの話を思いついたケン先生は頭がおかしいと言わざるを得ない。つーか獏せンせ漫画化の懐深すぎるだろ・・・いやめっちゃケン先生の漫画も好きだけど!