ジョン・ディクスン・カー「蝋人形館の殺人」



蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)

蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)


行方不明の元閣僚令嬢が、他殺死体となってセーヌ河で発見された。予審判事バンコランは、彼女が最後に目撃された蝋人形館の館主を尋問したのち、その館へ赴き展示を見て回るが、そこで半人半獣の怪物像に抱かれた女の死体を発見する。頽廃の都を震撼させる異様な殺人事件の真相とは。優雅な装いの下に悪魔の冷徹さと知性を秘めたバンコランの名推理。新訳にして初の文庫版。



ポケミス版で持ってるけど積読マウンテンに飲み込まれているうちにまさかの新訳版が登場ですよ。いやまぁ訳の問題があるので新訳は普通に大歓迎ウェルカムではあるのですが。つーか昔のどうしよう・・・


あらすじからして分かると思うのですが、本書はいわゆるあまりカーを読まぬ人がイメージするカー、つまりは怪奇・オカルト趣味が全面的に押し出された作品です。探偵役はカーの著作の中でもそれほど登場機会が多くないバンコラン。バンコランが担当するのはこーゆー怪奇方面の作品が多いのですが、正直そこまで魅力的なキャラでもない(おい)ためH・Mとかフェル博士にとって変わられちゃったのかな。あと怪奇的な作品ということでカーが多少意識したのかはもう知るよしもないのですが、新訳とはいえ文章がちと硬い(H・Mとかフェル博士ものに比べるとね)のでちょっととっつきにくい感があるやもしれませぬ。話としては怪奇趣味を押し出したこともあり実に雰囲気満点であり犯人の意外性(この魅せ方がさすがカー)やラストの展開も印象に残りまくりで素晴らしく面白かったのですが。


結論:やっぱカーはよい






「つーかもうお前カーなら何読ンでも面白く思えるンじゃね?」
「お、おう・・・」