パトリック・クェンティン「俳優パズル」




出色の脚本を得て名プロデューサー復活の狼煙を上げるはずが、誤算続きのピーター・ダルース。忌まわしい噂のある劇場をあてがわれ、難点だらけの俳優陣を鼓舞してリハーサルを始めたが、無類漢の乱入に振り回されたあげく死者まで出る仕儀と相成った。真相究明か興行中止の憂き目に遭うか、初日は目前に迫っている!謎解きとサスペンスの興趣に満ちた、パズルシリーズ第二作。



おお、傑作と聞いていたけどこれほどのものとは。


パズルシリーズ2作目、クラシックミステリ愛好者には傑作として知られていた入手困難なレア作品が新訳で復刊。1作目も結構面白かったのですが、2作目となった本書は1作目よりもストーリー展開とキャラクターがこなれたのか、1作目を遥かに超えた(注:ワシ評価で)内容でワシは大いにこれを楽しンだものです。話には聞いていたけどこれほどのものだったとは。


タイトル通り本書のキーワードは「俳優」であり、登場人物はどいつもこいつも一癖も二癖もある連中ばかり。プロデューサーとして復活を目論むダルースを中心としてトラブルが連発するのですが、この辺のさじ加減が絶妙で一つ間違えばスラップスティック的な味わいになるところが、緊迫感あるシリアスな展開になっているのは見事の一言。発生する一連の事件が最後になって1つに意味を持つ解決の鮮やかさ、犯人の隠し方などミステリ的にも1級品でありクラシックミステリファンにはたまらぬ内容と言えましょう。ラストの舞台の進行と解決が混然一体となった魅せ方とかすげぇぜ。


というわけでワシ的にはかなりオススメしたい作品です。クラシックミステリ愛好家には勿論のこと、それ以外の方にも安心してオススメできる作品ですだよ