ケイト・アトキンソン「世界が終わるわけではなく」

世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)

可愛がっていた飼い猫が大きくなっていき、気がつくと、ソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ている！そして・・・という「猫の愛人」、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語「ドッペルゲンガー」、事故で死んだ女性が、死後もこの世にとどまって残された家族たちを見守ることになる「時空の亀裂」等々、十二篇のゆるやかに連関した物語。千夜一夜物語のような、それでいて現実世界の不確実性を垣間見せてくれる、ウィットブレッド賞受賞作家によるきわめて現代的で味わい深い短篇集。

おお、これはすごいな。


どンな話かは上記あらすじっつーか表紙のイラスト（女の人がソファーに座っている隣に、猫がアイス食いながら座ってる）見てもらえば何となく雰囲気つかめるかと。とはいえヘンテコなだけではなく、さりげない日常の中にさらっと織り込ンだ虚構からかいま見える世界観が実にステキ。読ンでて「どっかずれてるな・・・」と思わされる話が多く、妙な読み心地が続くのが本書の特徴かな。とはいえ、ユーモアあり、重苦しい話あり、やるせない話あり、奇妙な話ありでバリエーションには富ンでおり現実に近いよーで現実離れした、まっこと千夜一夜的なお話でありました。世界が終わるわけではない。


ミステリっつーよか普通の読み物的なテイストだけど、面白かったのでオススメです