ネレ・ノイハウス「深い疵」



深い疵 (創元推理文庫)

深い疵 (創元推理文庫)


ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が射殺された。凶器は第二次大戦期の拳銃で、現場には「16145」の数字が残されていた。司法解剖の結果、被害者がナチス武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯罪に及んだのは何者なのか。ドイツで累計200万部突破の警察小説シリーズ開幕。



重厚で読み応えあったぜ。


とはいえテンポよく話が進むので重厚ながらもさくさくっと読めちゃったけど。いやこれは良い。凄い。基本は「ある富豪一族の謎」というミステリ的にはベタなガジェットがベースなのでありますが、そこは本書。ナチスホロコーストといったドイツらしい(?)ネタで味付けされており、その辺がうまい事ストーリーに絡むことで話を盛り上げてくれます。つーかその辺の味付けが絶妙で話の底がまったく見えず、最後の最後までサスペンス性が高くてテンション高く読み通してしまいましたよ。捜査により次々と明らかになる事実を組み立てて真相を突き止める、このスリリングさは警察小説ならではやね。


というわけでワシとしては大いにオススメなのでありますが、本書は原書でいけばシリーズ3作目でありますゆえ序盤はちと人間関係を把握するのに時間かかるかも。まぁ大して複雑ではないのでするっと把握できるとは思うけど・・・


もう1冊、現時点で邦訳の予定があるそうなのでそちらも楽しみ