青崎優吾「体育館の殺人」



体育館の殺人

体育館の殺人


風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった!?早めに授業が終わり体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかるが・・・。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のために、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に───。しかしなぜ彼は校内に住んでいるんだろう?「エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+学園ミステリ」で贈る、21歳の新鋭のデビュー作。



おおぅ、これは中々のシロモノだぜ。


ワシのよーなオッサンにとっては、本書のよーな探偵の造形はイマイチ肌に合わン・・・と思っていたのだけど、そこまでディープなアニメネタが展開されるというわけではなかった(というかこの設定にする必要があったのか)ので特に問題なかった一安心ですよ。


というわけで本書。つーかそろそろ国産のロジック重視のミステリに対してエラリー・クイーンを持ち出すのはやめた方がいいンじゃね?と思わないでもないでもない。(もう有栖川有栖とかのクイーン系統の国内作家でええじゃンよ・・・) おっと閑話休題。論理展開、ロジックメインと謳っているのはまったくもってその通りでありまして、作中で展開される「一本の傘」をベースとした推理には感心しました。これは圧巻。説得力あるぜ。こーゆーロジック重視の作品ってのは解決パートでの探偵のハッタリが命なので、よくよく考えたら穴がありそうとか少し強引じゃね?とかそーゆーのはどーでもいいンですよ!(おい) 少なくとも作中でそれなりの納得行く(状況)証拠が出てきて、何かロジックで押し切られてるという雰囲気が出てりゃそれでええンですよ!(おいおい) 「なるほど説得力あるわー」と思わせて特に疑問をもたせなけりゃそれでええンですよ!(おいおいおい) 本書はその辺を軽やかにクリアしており、説得力ある展開でワシとしてはこれを大いに楽しンだものです。


というわけでロジック重視の本格ミステリスキーには強くオススメしたいところ。やっぱ本格はいいなぁ・・・