マイクル・コナリー「スケアクロウ」(上下)



スケアクロウ(上) (講談社文庫)

スケアクロウ(上) (講談社文庫)



スケアクロウ(下) (講談社文庫)

スケアクロウ(下) (講談社文庫)


犯人の名は、案山子(スケアクロウ)。情報の万人で、細い脚の女を嗜虐する男。
追いかけるのは、新聞記者。解雇目前で、一発逆転の大スクープを狙う男。


人員整理のため二週間後に解雇されることになったLAタイムズの記者マカヴォイは、ロス南部の貧困地区で起こった「ストリッパートランク詰め殺人」で逮捕された少年が冤罪である可能性に気づく。スクープを予感し取材する彼を「農場(ファーム)」から監視するのは案山子(スケアクロウ)。コナリー史上もっとも不気味な殺人犯登場!



「ポエット」以来となる新聞記者マカヴォイが主役の作品。とはいえ前作のネタバレがされているということもなく、また本書を楽しむ上でも単にマカヴォイが「ポエット」事件の解決に関わったという程度の知識があれば何ら問題なく本書に入れるかと。


というわけで本書「スケアクロウ」ですよ。しかし「ポエット」といい「スケアクロウ」といい、このハッタリの聞いた犯人のネーミングセンスはただごとではないなコナリー。ワシすげぇ好きだけど。だがそれがいい。むしろそれがいい。今回はコナリー作品ではめずらしく、序盤から犯人が露出してまして「誰が犯人やねン」という驚きはあまりないのですが、その分「一体どうやってこいつらにたどり着くンだ」というサスペンス性が高く設定されており、また各章が短めに構成されていて場面転換が早くやたらテンポがいいので、ぐいぐいっと読まされてしまいます。つーかダレるところがないので最初から最後まで一気読みですよ。犯人特定へのプロセス以外にも、マカヴォイが務めるLAタイムズの実情なども合わせて楽しめるのも中々嬉しいところ。


というわけでさすがコナリー、安定の高クオリティで大変楽しい作品でございました。超オススメですぜ